日本健康教育学会誌
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原著
養護教諭の抑うつとストレッサー要因の関連
都市部公立小・中学校における検討
武田 文岡田 加奈子朝倉 隆司
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2010 年 18 巻 2 号 p. 92-102

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抄録

目的:養護教諭の抑うつレベルを明らかにするとともにストレッサー要因との関連について検討すること.
方法:2004年9月ならびに2005年1月に関東地方1県内の3市で行われた公立小・中学校養護教諭研修会の参加者293名を対象に,属性,抑うつ(CES-D),職業ストレッサーに関する項目で構成された無記名自記式調査票を用いて調査を実施した.有効回答を得た184名について,CES-D得点から抑うつレベルを観察し,抑うつの有無と属性ならびに職業ストレッサーとの関連を検討した.
結果:有効回答者のCES―D得点平均値は13.5点(SD8.0)で,得点16点以上の「抑うつあり」群は63名(34.2%)であった.ロジスティック回帰分析の結果,抑うつの有無に対して有意な関連が認められたのは「子供の有無」と職場での「役割葛藤」であった.抑うつ症状のオッズ比は,子供がいる者がいない者に対して2.4,役割葛藤の高い者が低い者に対して2.5であった.
結論:都市部公立小・中学校の養護教諭において,抑うつ症状を呈するとみられる者は全体の34.2%あり,抑うつに関連するストレッサー要因として子どもの有無と職場での役割葛藤が認められた.

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© 2010 日本健康教育学会
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