2010 年 99 巻 7 号 p. 1623-1627
肺胞蛋白症患者の9割は,顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)に対する自己抗体による肺胞マクロファージの機能障害のため,肺サーファクタント物質の除去能が低下して生ずるとされる自己免疫性肺胞蛋白症である.分子病態に基づく新規治療としてGM-CSF治療の研究が進められてきた.標準治療の全肺洗浄に比して簡便で,外来治療が可能なGM-CSF吸入治療は,本邦での多施設第II相試験で重篤な有害事象なく,60%をこえる奏効率を示し,その効果は治療期間と用量によることが示唆された.本症は稀少疾患であるため,国際共同研究でさらに検討することを計画中である.