日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
サルコイドーシスに併存した若年者大腸癌の1例
太田 竜小根山 正貴高橋 保正関川 浩司
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2010 年 63 巻 8 号 p. 521-525

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抄録

サルコイドーシスは非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の全身性疾患である.今回我々は,肺サルコイドーシスが併存した若年発症盲腸癌の1例を経験したので報告する.症例は29歳男性.大腸癌の家族内発症はなかった.肺サルコイドーシスにて近医フォロー中,2008年10月中旬に下血を生じ当院受診.大腸内視鏡検査にて盲腸に2型の腫瘍を認め,生検にて中分化腺癌であった.明らかな遠隔転移はなく,結腸右半切除術(D3)を行った.腫瘍は5cm大で回結腸動脈周囲に腫大したリンパ節を認めた.病理組織診では一部低分化成分をともなう中分化腺癌であり,深達度SSで回結腸動脈リンパ節に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫をともなう転移巣を認めた.悪性腫瘍との因果関係は不明であるが,サルコイドーシスは免疫学的に遅延型過敏症反応の抑制や細胞性免疫の異常をともなうとされており,大腸癌若年発症への関与が示唆された.

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© 2010 日本大腸肛門病学会

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