皮膚の科学
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症例
皮膚B細胞偽リンパ腫の1例
立石 千晴小林 裕美水野 信之鶴田 大輔竹村 宏代大澤 政彦石井 正光
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2010 年 9 巻 2 号 p. 163-167

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抄録

68歳,女性。2003年9月,前額部にそう痒を伴う紅色丘疹および結節が出現した。前額部の病理組織像は,真皮全層に主として単核球からなる稠密な細胞浸潤がみられ,濾胞様構造を呈していた。浸潤細胞に明らかな異型性は認められず,B細胞を主体とした濾胞様構造の辺縁部にT細胞が分布していた。皮膚B細胞偽リンパ腫と診断し,ミノサイクリンなどの内服を行ったが改善せず,2005年8月には両頬部にも紅斑が出現した。右頬部の病理組織学的検査にても前額部と同様の細胞浸潤が認められ,サザンブロット法による免疫グロブリンH鎖および T cell receptor (TCR) の遺伝子再構成を検索したが,単クローン性の再構成はみられなかった。以上より,皮膚B細胞偽リンパ腫と診断した。今後悪性リンパ腫へ移行する可能性も考えて,慎重に経過観察を続けている。

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© 2010 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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