2010 年 25 巻 p. 83-90
我が国では「片切片盛の盛土」や「谷地の盛土」が多く構築されている.この様な盛土構造物には様々な降雨対策が施されているが,毎年多くの土構造物が降雨によって被災していることも事実である.気候変動に伴って顕在化してきた降雨量と降雨強度の増加に対応していくためには,積極的な降雨対策が必要である.本研究では室内降雨浸透実験を実施し,ジオシンセティックスによる盛土構造物の降雨時安定性の向上を検討した.この結果,被災の主要因である「盛土内地下水位面の上昇」と「地表水の流下による表面浸食・飽和化による盛土の流動変形」に対して,ジオシンセティックスによる土中水の排水と盛土の補強は降雨時安定性の向上に効果的である事を確認できた.