舞踊學
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遂行動作の変化から見た示範の繰り返し呈示に伴う運動習得過程
成瀬 九美
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1999 年 1999 巻 22 号 p. 42-49

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抄録

本研究は、映像による示範を用いた舞踊動作の習得過程を、特に動作の修正に関して学習者の遂行動作を対象として検討した。課題動作は舞楽「迦陵頻」のまとまりのある一連の動作を用い、示範は舞楽の熟練者 (女性) が行った。被験者は舞楽の未経験者6名で、対面方向からビデオに録画した課題動作を観察した後に遂行を行い、被験者が習得できたと判断するまでこの手続きを繰り返した。また、被験者の最終遂行動作をビデオフィードバックし、再び遂行させた。遂行動作の動作分析を行った結果、以下のことが明らかになった。
(1) 一連の動作の習得は「部分」に始まり、「全体」の動きへと統合されるが、上肢動作は下肢動作よりも詳細に習得が進められる傾向があった。
(2) 最終試行時の遂行時間は示範に近似した。
(3) ビデオによる付加的なフィードバックは時間的要素や空間的要素の部分的な修正に効果が認められたが、修正後の遂行時間の短縮や新たな誤再生を生じさせる、負の影響も推測された。

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