日本臨床外科学会雑誌
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症例
多発肝膿瘍を伴った胃GISTの1例
西野 豪志志摩 泰生寺石 文則福井 康雄谷木 利勝堀見 忠司
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2011 年 72 巻 1 号 p. 67-73

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抄録

症例は60歳,男性.発熱と全身倦怠感を主訴に当院を紹介受診した.上部消化管内視鏡検査で胃体上部にgastrointestinal stromal tumor(GIST)を疑う4cm大の粘膜下腫瘍を認めた.腹部CT,MRI検査で肝右葉に多発性嚢胞性腫瘍を認めた.臨床所見とCT,MRIからは肝膿瘍を疑ったが,腹部超音波検査では充実性腫瘍の所見であり,GISTの肝転移の可能性も否定できず,胃部分切除と肝拡大右葉切除を行った.病理検査の結果,胃粘膜下腫瘍は中リスクのGISTと診断された.肝腫瘍には悪性所見は認めず,肝膿瘍と診断された.膿瘍の原因菌は特定できなかった.術後経過は良好で,現在無再発生存中である.胃GISTに肝膿瘍を合併した報告は少なく,貴重な症例と考えられたため,文献的考察を加えて報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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