生体適合性および摩擦特性に優れる非晶質炭素膜を人工股関節に応用することを念頭に置き,Ti添加および真空加熱処理による密着性向上を検討した.その結果,スパッタ成膜時に化学的に活性なTiを添加しただけでは,非晶質炭素膜の密着性改善の効果は得られなかったものの,成膜後に500℃-10分間の真空加熱処理を施すことにより密着力は向上した.特に,Ti含有量を15at%まで増やすことにより,低摩擦特性を維持した状態で真空加熱処理後の密着力は130%以上向上した.また,成膜温度を上昇させることによりTi添加非晶質炭素膜の密着力は向上し,真空加熱処理によりさらに高い密着力を得ることが可能となった.