2011 年 62 巻 1 号 p. 48-52
左腎盂形成術および子宮筋腫手術に関連して生じた慢性疼痛に対し,漢方治療が奏効した1例を経験した。症例は55歳女性。左腎盂尿管移行部狭窄症に対する左腎盂形成術と,その後生じた子宮筋腫術後の骨盤内癒着による尿管狭窄に対する長期尿管ステント留置が為された。しかし術後の疼痛が慢性化し徐々に増強,ステントに伴う疼痛・不快感も持続し抑うつ傾向も出現,和漢治療を勧められ当科受診となった。気虚,気鬱,水滞を目標に茯苓飲合半夏厚朴湯を処方したところ,疼痛に改善を認めた。慢性疼痛患者に対する,気の失調病態を考慮した漢方治療の有用性が示唆された。