日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(研究)
ストレス反応と関連要因 職域でのストレス調査における一考察
黒谷 万美子中出 美代
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2010 年 33 巻 4 号 p. 350-359

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抄録
 近年, 労働者の受けるストレスは拡大する傾向にあり, 仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が6割を超える状況にあり, 心の健康問題が労働者, その家族, 社会に与える影響は, ますます大きくなっている. また, 定期健康診断における有所見者も年々増加しており, 心身両面にわたる健康増進対策が急務である. そこで本研究は, 職域における生活習慣, 食行動とストレス反応の実態を把握するとともに, ストレス反応と生活習慣や食行動等の関連要因について検討することを目的とし, 2006年8月にA社 (小売業) 社員 (980名) を対象に, 自記式アンケートを実施 (回収率63.7%) し, そのうちほとんど記入されていないものを除く有効回答624名について分析した. ストレス反応と生活習慣との関連をみた結果, 食行動, 運動, 体型満足との関連が認められた. また心理的ストレス反応と関連が高かった項目は, 心理的な仕事の量的負担, 仕事における部署内での対人関係, 上司との対人関係, 生活満足度と食行動の歪みであり, 身体的ストレス反応と関連が高かった項目は, 心理的な仕事の量的負担, 自己技術の仕事への活用, 生活満足度と食行動の歪みであった. 生活習慣を変える行動変容支援とともに, 上司からの職場内でのサポートを高める支援がストレス対策を考える上では不可欠であることが示唆された. 管理監督者に対する教育を効果的に行うことは言うまでもないが, それ以外の種々の機会を利用した従業員や家族に対する長期的な教育・相談活動が重要であると考える.
引用文献 (27)
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© 2010 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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