2009 年 9 巻 1 号 p. 1_113-1_127
木造建物の地震応答解析をより簡便に行うために、建物を一自由度系の単一ばねにモデル化する際の復元力特性モデルを提案した。具体的には、Takeda-Slipモデルに木造建物の挙動を表現できるよう修正を加えた。提案したモデルの妥当性を確認するため、地震応答解析を行って、既往の実大振動実験結果を再現できるかどうかを検証した。その結果、実験結果を概ね再現できることを確認した。そして、建物を構成する耐力壁の仕様より復元力特性モデルのパラメタを決定する方法について検討した。耐力壁ごとの復元力特性を重ね合わせることで、提案するモデルのパラメタを設定し、地震応答解析を行って実大振動実験結果と解析結果との比較を行った。解析結果は実験結果を概ね再現することができ、耐力壁の仕様がわかれば、提案するモデルのパラメタを設定して地震応答解析ができることになり、提案するモデルの有用性を確認できた。