日本口腔腫瘍学会誌
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下顎歯肉癌原発巣における腫瘍進展のCT所見による診断能
中山 英二湯浅 賢治田畑 修河津 俊幸筑井 徹神田 重信中村 誠司吉川 博政大部 一成池邊 哲郎大石 正道白砂 兼光
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2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 253-256

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抄録

研究の目的は下顎歯肉扁平上皮癌の周囲軟組織進展のCT所見と実際の腫瘍進展範囲と比較し, CTによる腫瘍進展の診断能を明らかにすることである。
対象は1992年~1999年の間に九大歯学部附属病院で腫瘍切除術がなされ腫瘍進展範囲が肉眼的または病理組織学的に確定した77例である。各症例の術前のCT像を3名の日本歯科放射線学会認定医が観察し, 周囲軟組織への腫瘍進展の有無について「ある」, 「あるかもしれない」, 「わからない」, 「ないかもしれない」, 「ない」の5段階で評価した。
周囲軟組織への進展部位は, 1) 頤舌筋, 2) 顎舌骨筋, 3) 内舌筋, 4) 内側翼突筋, 5) 咬筋, 6) 唇頬側組織, 7) 広頸筋である。この判定結果を実際の腫瘍進展範囲と比較し, CTによる腫瘍の軟組織進展の正診率を各観察者のROC曲線下の面積Az値の平均値を指標として求めた。結果としてCT像による腫瘍進展の正診率は頤舌筋0.86, 内側翼突筋0.86, 顎舌骨筋0.82, 咬筋0.80, 内舌筋0.76, 唇頬側組織0.71, 広頸筋0.65であった。結論として内舌筋, 唇頬側組織, 広頸筋への進展の判定には視診, 触診を含む臨床所見を参照してCT像を注意深く読影することが必要と考えられた。

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