日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
舌扁平上皮癌N0症例の頸部後発転移に関する臨床病理組織学的検討
原田 浩之小村 健前田 顕之
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 313-317

詳細
抄録

1983年1月から2000年4月までに千葉県がんセンターで治療を行った舌扁平上皮癌N0症例のうち, 初回原発巣切除術のみを行った40例を対象として, 頸部後発転移発現に関与する因子の検討を行った。
頸部後発転移を認めた10例と認めなかった30例について, 臨床的因子としてはT分類, 発育様式, 腫瘍の厚さを, 病理組織学的因子としてはAnnerothの分類による角化度, 核異型度, 核分裂像, 浸潤様式, 浸潤の深さ, リンパ球浸潤およびAgNOR数, Ki-67 labeling indexについて比較検討した。
単変量解析の結果, 腫瘍の厚み4mm以上, 角化度, 核分裂像, 浸潤様式, 浸潤の深さのスコアが3以上, Ki-67 labeling indexが30%以上の症例は, 有意に後発転移の発現率が高かった。
以上より, 腫瘍の厚みと切除標本における角化度, 核分裂像, 浸潤様式, 浸潤の様式, 浸潤の深さおよびKi-67抗原の発現の評価は, 頸部後発転移発現を予測する因子として有用と考えられた。

著者関連情報
© 日本口腔腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top