日本畜産学会報
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牛血液からのニトロソヘモグロビンの調製と塩漬肉色増強効果
坂田 亮一義田 直子森田 英利永田 致治
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1993 年 64 巻 8 号 p. 855-861

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抄録

屠畜血液成分のうち,特に食品への用途が限定された状態にある赤血球部分の有効利用をはかるため,まず牛血液からヘモグロビン(Hb)を調製し,Hbをニトロソ化する至適反応条件を求めた.次に得られたニトロソ化Hb (NOHb)をソーセージに添加し,塩漬肉色に対する増強効果について試験を行なった.その結果,Hb溶液にNaNO2とアスコルビン酸をそれぞれ25mM添加し,PH 4.5に調整することにより,2°C,20°Cのいずれにおいても速やかに全Hbの80%以上がニトロソ化された.このHb反応液に40%グルコースを加えることにより,生成したNOHbは2°Cにおいて20日間安定に保たれた.Hb反応液中に残存亜硝酸塩はほとんど検出されず,一般細菌の増殖も認められなかった.Hb反応液をソーセージに0.5および1%添加することによって,いずれの場合も発色は定量的に増強され,2°Cで暗所に2週間貯蔵後も試料表面のHunter値はほとんど変化せず,添加した試料中のNOHbは安定に保たれた.光による退色試験においても良好な結果が得られた.

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