日本畜産学会報
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産卵鶏骨髄骨の器官培養における破骨細胞および骨芽細胞の電子顕微鏡的観察
杉山 稔恵大橋 知男楠原 征治
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1992 年 63 巻 5 号 p. 468-473

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抄録

産卵鶏の骨髄骨は,卵が卵管の卵白分泌部に存在する時期には骨形成期,卵殻腺部に存在する時期には骨吸収期に区別される,これらの骨形成期および骨吸収期の骨髄骨をそれぞれ器官培養し,破骨細胞および骨芽細胞を電子顕微鏡学的に観察して器官培養の可能性を検討した.骨形成期の骨髄骨では,48時間の培養後でも培養前と同様に破骨細胞は,豊富な細胞質を有していたが,ruffled borderは認められず,不活発な骨吸収像を呈していた.骨芽細胞も同様に変化せず,48時間の培養後まで粗面小胞体が発達した活発な骨形成像を示していた.一方,骨吸収期の骨髄骨では,72時間の培養後において破骨細胞は指状細胞質突起であるruffled borderを有し,培養前と同様に活発な骨吸収像を示していた.骨芽細胞は,24時間の培養後まで培養前と同様な形態を示し,一般に発達の悪い細胞質を有する不活発な骨形成像を呈していた.これらの結果から,骨形成期および骨吸収期における骨髄骨の破骨細胞および骨芽細胞の機能は,培養後短時間では維持されていることが示唆された.

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