日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
イオノフォアの十二指腸内投与が去勢牛の代謝に及ぼす影響
入来 常徳舟場 正幸井上 幸彦阿部 又信
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 64 巻 1 号 p. 54-59

詳細
抄録

十二指腸にカニューレを装着した体重約250kgのホルスタイン種去勢牛4頭をを用いて2回の試験を行ない,モネンシンNa (MN),サリノマイシンNa (SL)およびラサロシドNa (LA)がルーメン発酵とは無関係に牛の代謝に影響を及ぼす可能性について検討した.供試牛には8:30時に飼料を給与し,9:30時に試験1では各20mg,試験2では各50mgのイオノフォアをそれぞれエタノール2または3mlに溶解して投与した.対照としては同量のエタノールのみを投与し,いずれの試験も4×4ラテン方格法の要領で1日置きに4処理を反転した.投与前15分から投与後240分まで経時的に頚静脈血を採取し,グルコース,遊離脂肪酸(NEFA)およびNa, K, Ca, Mg,無機P濃度を測定した.その結果,20mg投与時は対照と比較して何らの変化も生じなかったが,50mg投与時にはMNの投与によってNEFA濃度が有意に低下し,LA投与後も同様の傾向が認められた.しかしグルコースやミネラル濃度には変化がなく,SLの投与はNEFA濃度を含めて影響を及ぼさなかった.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top