日本畜産学会報
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グルタミン酸,イノシン酸及びカリウムイオンが鶏肉抽出液の呈味に果たす役割
藤村 忍古賀 秀徳竹田 弘美利根 尚子門脇 基二石橋 晃
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1996 年 67 巻 5 号 p. 423-429

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抄録

前報では,グルタミン酸(Glu),イノシン酸(IMP)およびカリウムイオン(K+)が鶏肉抽出液の呈味有効成分であることを特定した,本報告ではその3呈味成分が呈味5項目-うま味,苦味,酸味,塩味,甘味に及ぼす影響を検討した.鶏肉抽出液と同一の組成の化学溶液を基準液とし,それからGlu,IMPあるいはK+を除いたもの,またはそれに2倍量に添加した溶液との呈味の差を,官能試験による5基本味についての対比較法,ならびに2点嗜好法を用いて評価した.その結果,Gluは添加によっても除去によっても旨味および塩味に影響がみられたが,甘味については添加したときのみ影響がみられた.IMPを除去すると,基準液に比較し有意にうま味,甘み,塩味が減少したが,酸味と苦味には影響は見られなかった.IMPを添加した場合は,塩味,甘味は増加したが,他の基本味には影響しなかった.抽出液のうま味への影響はGluの方がIMPよりも強かった.K+の除去により甘味,塩味および苦味に影響がみられたが,添加においては苦味のみに影響が認められた.酸味はこれら3成分によって影響されなかった.

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