日本畜産学会報
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培養ニワトリ骨髄骨における破骨細胞のアクチンフィラメントに対する副甲状腺ホルモンおよびカルシトニンの影響
杉山 稔恵楠原 征治
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1996 年 67 巻 6 号 p. 526-532

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抄録

放卵後3時間で骨吸収が停止している時期および放卵後12時間で骨吸収が促進している時期の産卵鶏骨髄骨を合成ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)および合成ウナギカルシトニン(CT)添加培地でそれぞれ培養し,破骨細胞におけるアクチンフィラメント分布におよぼす影響について検討した.放卵後3時間における培養前の骨髄骨では,破骨細胞において骨基質側の明帯に相当する部分に,帯状を呈したアクチンフィラメントが強く認められた.これらをPTH無添加培地で24時間培養したところ,アクチンフィラメント分布は培養前と変化しなかったものの,PTH添加培地ではアクチンフィラメントの帯状の中心部は不明瞭となり,骨基質に対して垂直な線状を呈したアクチンフィラメントが観察された.一方,放卵後12時間における培養前の骨髄骨では,破骨細胞において骨基質側の波状縁部分に,骨基質に対して垂直な線状を呈したアクチンフィラメントが認められた.これらをCT無添加培地で24時間培養したところ,アクチンフィラメント分布は培養前と変化しなかったものの,CT添加培地では線状を呈したアクチンフィラメントは消失し,帯状を呈したアクチンフィラメントが観察された.以上の結果から,PTHおよびCTは,アクチンフィラメントの分布を改変することにより破骨細胞による骨吸収を調節していることが示唆された.

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