2011 年 30 巻 1 号 p. 23-26
我々は産科DIC を発症した子宮内反症の麻酔管理を経験したので報告する。症例は25歳の初産婦。自然分娩直後から子宮内反症による大量出血を来した。徒手整復術は奏功せず,救命目的に救急搬送された。意識下挿管後,麻酔はセボフルランとフェンタニルで維持した。産科DIC スコアは上昇し,収縮機能不全となった子宮からの止血が困難となった。そのため,原因子宮の摘出と輸血療法を行った。術後はICU 管理を行い,術後7日目には独歩退院した。内反症は必ずしも産科DIC と直結しない。しかし収縮機能不全に陥った子宮は産科DIC を惹起しうる。産科DIC には正確な臨床評価,他科との速やかな連携及び集学的治療が重要である。