2011 年 25 巻 1 号 p. 043-047
症例は77歳男性.胸部異常陰影を指摘され,当科外来で精査中に呼吸困難を訴え,緊急入院となった.外来で行ったCTでは,左下葉に5cm大の腫瘍があり,気管支鏡では,左下幹に基部があるポリープ状腫瘍の主気管支内への進展を認めた.左上幹には異常所見を認めなかった.緊急入院後の気管支鏡では,気管支内腫瘍の中枢側への急速な進展を認め,左上幹をほぼ閉塞していた.コントロール不良の糖尿病があったため,術前に厳格な血糖管理を行い,入院後第7病日に左下葉切除を行った.術後経過は良好であった.気管支切除断端に腫瘍の遺残はなく,左下葉切除にて完全切除を得た.病理組織学的に,腫瘍は,肺原発多形癌と診断され,リンパ節転移は認めなかった.