河川感潮域における懸濁物質の体積濃度は, 縦断方向流速の向きが逆転する位相付近において急激に増大し, 下流向き流速が最大となる位相でほぼ一様な値になる. この体積濃度の増大は, 観測点の下流側に存在していた懸濁物質あるいは上流側で凝集した懸濁物質の輸送によるものである. 全体積濃度が高い位相における粒径別体積濃度は, ほぼ200-460μmの体積濃度が非常に高いが, これは, 高潮時の位相における凝集作用に起因する. 次に, 20μm以下の体積濃度が高く, 30-150μmの体積濃度は極めて低い. これは, この範囲の粒径の懸濁物質が凝集作用に深く関わっていること, あるいはshearの増大による懸濁物質の分裂を示唆するものである.