2002 年 49 巻 p. 451-455
波打ち帯 (Swash Zone) を含む砕波帯内乱流現象に起因する底質移動現象を解明するために, 砕波帯内流速場の数値モデルを拡張し, 新たに砕波帯と波打ち帯の乱流場の計算を同時に行なった.この算定法は, 岸側境界を移動境界として波打ち帯までを含めて流速場を一体として算定しており, レイノルズ方程式を直接に数値解析する, 非線形で時間的, 場所的に非対称な浅水波と乱流を含んでいる方法を, 新たに波打ち帯を含む砕波帯全域の流速計算に拡張したものである.計算結果と既往の実験室における計測結果と比較し, その有効性と限界を確かめた.本算定法は砕波帯内水理量の算定に汎用性を有し, 漂砂現象, 物質混合を検討する際に強力な道具となる.