2002 年 49 巻 p. 606-610
メコン川など主にアジア地域の大河川の流域を解析対象として気象, 土壌, 地形のデータを集積し, RUSLE (Revised Universal Soil Loss Equation) を援用して, GIS上のモデルで流域内の浸食量を推定する方法を開発した. 浸食土砂量の推定には, 降雨量変化, 表土流出, 洪水, 河口への土砂の流出とつながる因果連関を設定することができる. アジア諸地域の大河川に比べてデータのそろっている日本国内の河川のうち, 安倍川についてまず検討し, モデルの検証を行った. 次にメコン川, 紅河, 長江, イラワジ川の現状についてモデルを適用して検討すると共に, 主に降雨量の変動を考慮して, 将来の環境変化に対応する河口への供給土砂量変化の推定を行った.