2011 年 23 巻 1 号 p. 1-4
他院整形外科にて行った関節腔への頻回のステロイド注入後に急性化膿性顎関節炎を発症した1例を報告した。症例は82歳の女性。右側顎関節部の腫脹と疼痛を主訴に来院した。初診時,右側顎関節周囲に膿瘍が認められた。CTでは右側下顎頭と下顎窩の表面が吸収され粗●で,下顎頭内部は骨硬化像を呈していた。入院下,抗菌薬の点滴静注およびドレナージを施行し消炎した。退院9か月後,開口障害の悪化とCTで骨性癒着の傾向がみられた。関節腔ステロイド注入は患者の状態に応じた適応判断と感染対策が肝要である。