日本口腔腫瘍学会誌
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症例
下顎骨内に発生した孤立性神経線維腫の1例
―嚢胞性疾患との鑑別を要した症例―
植田 祐子中野 旬之梅田 浩嗣真野 隆充片瀬 直樹長塚 仁上山 吉哉
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2011 年 23 巻 2 号 p. 27-31

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抄録

要旨:診断に苦慮した下顎骨内に孤立性に発生した神経線維腫の1例を経験したので報告する。患者は,23歳の男性。右側下顎臼歯の疼痛を主訴に受診し,X線検査の結果,右側下顎第二,第三大臼歯の根尖に透過像を認めた。下顎骨嚢胞との臨床診断のもとに,全身麻酔下に摘出術を行った。腫瘍は充実性で,腫瘍摘出後の腔内に下歯槽神経は認めなかった。
病理組織学的に,病変の大部分は炎症組織であったが,一部に腫瘍組織を認めた。腫瘍組織には不規則な配列を呈する,紡錘形細胞と膠原線維の密集した部位がみられ,免疫組織学的にはS-100蛋白に陽性の散在する神経線維が認められた。以上の結果より,下顎骨に発生した孤立性の神経線維腫と診断した。

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© 2011 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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