2001 年 65 巻 5 号 p. 679-684
里山林の持つ諸機能を生かし, 管理して利活用を図っていくには, その実態を面的に捉えていくことが肝要である。本研究は, そのような一環から, 福岡市近郊の里山林を対象に, 代表的樹種9種について季節による色調変化をカラー航空写真データから分析し, その特性を活用した樹種区分の可能性を検討した。その結果, 常緑広葉樹は春季に, 落葉広葉樹は春季と秋季に明確な色調変化を示し, 常緑針葉樹は通年で明確な色調変化を示さないことなど, 樹種ごとに異なる色調変化があることを確認した。また, RGBデータのR値, HSIデータのH値 (色相), I値 (明度) が樹種による色調変化をよく示し, 樹種区分に有効であった。さらに, 樹種区分に最適な観測時期は5月と12月であることが把握された。