2001 年 65 巻 5 号 p. 879-884
本研究では, 兵庫県の多自然居住地域における市民農園の利用実態の把握を試みた。その結果, 都市部の市民農園では, 60代中心の世代による近距離・高頻度利用に偏り, その満足は農林業に関わるものから得られていた。それに対し, 多自然居住地域のものでは, 都市部に比べて利用者層がやや若く50代中心であり, より幅広い世代により多様な利用がなされ, その満足も農林業に関わるもののみならず, 景観や地域交流から得られていることから明らかとなった。これらのことから, 多自然居住地域における市民農園は, 都市農村交流の核となる可能性を十分に有し, その媒介としては農林業や周辺環境に関するものが重要な役割を果たすと考察された。