Journal of Hard Tissue Biology
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原著
口腔扁平上皮癌における癌抑制遺伝子候補の研究 その1
—4番染色体長腕部のLOH解析—
神農 泰生Mehmet Gunduz長塚 仁Esra Gunduz辻極 秀次清水 憲二永井 教之
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2003 年 12 巻 3 号 p. 75-81

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抄録

扁平上皮癌は口腔領域において最も多くみられる悪性腫瘍とされている。癌化に関与する遺伝子のうち、癌抑制遺伝子は癌化プロセスにおいて重要視されている。そこで、我々は口腔扁平上皮癌について遺伝子解析手法を用いて研究を行った。
Loss of Heterozygosity (LOH) とは染色体の微少欠失のことであり、高頻度のLOHの認められる染色体ゲノムDNA部分には癌抑制遺伝子の存在が示唆されると考えられる。過去の報告より、口腔扁平上皮癌4q22-35において、高頻度のLOHの報告があり、この部位に焦点を当てて解析を行った。
4q22-35領域の17のマイクロサテライトマーカーを用いたLOH解析の結果、40症例中34症例 (85%) において少なくとも1つのマイクロサテライトマーカーでの欠失が認められた。そのうち、2つのマーカー (D4S2623, D4S1644) において高頻度のLOHが見られた。D4S2623では最も高い44%のLOHが認められた。
高頻度のLOHを示したD4S2623付近の遺伝子を検索した結果、アポトーシスにおいて重要な役割を果たすCaspase-6遺伝子が存在していた。以上より、「口腔扁平上皮癌においてCaspase-6遺伝子が何らかの関連があることが示唆された。

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© 2003 硬組織再生生物学会
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