肝臓
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症例報告
肺転移を伴わず多発肝転移を形成し肝細胞癌との鑑別診断に苦慮した肉腫化腎細胞癌の1剖検例
上村 博輝石川 達樋口 和男今井 径卓渡辺 孝治関 慶一太田 宏信吉田 俊明上村 朝輝武田 敬子石原 法子野本 実青柳 豊
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2011 年 52 巻 9 号 p. 607-616

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抄録

症例は60代男性.200X年肝機能障害にて当院へ紹介された.
肝胆道系酵素の上昇を認め,腹部造影CTで肝S8濃度低下,左腎下極に低吸収域を認めた.腹部MRIにて肝両葉に小結節の散在が認められ,腫瘍生検にて肝細胞癌あるいは腎細胞癌肝転移と診断されたが確定診断には至らなかった.肝細胞癌に準じた治療を施行するも進行早く第22病日死亡.剖検所見では上皮成分の腎淡明細胞癌が肉腫様変性を生じ,肺転移を形成せずに広汎な壊死を伴った急速な多発肝転移を呈した腎細胞癌肝転移と診断された.非典型的な画像所見とその転移様式の考察に剖検所見が有用であった.

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© 2011 一般社団法人 日本肝臓学会
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