岐阜県郡上郡高鷲村では、夏大根の生産基盤の拡大を求めて、原野林の開発が進められている。しかし、主として夏の強雨により土壌が流亡し、長良川源流域の汚濁対策を厳しく迫られるに至った。調査の結果、本地区の土壌は極めて流亡性の判定が困難な土壌であることが明らかとなった。そこで、土性起源が同一の開発圃場群を対象に、新規開発土壌の熟成化の観点から、流亡性に関与する要因を比較検討した。熟成化の進行状況を土壌物理試験結果から判定すると、土壌の分散凝集反応ひいては流亡度が、有機物の施用や営農管理、耕作履歴等と複雑に関連していた。分散し懸濁化した泥水の流出を防止するため、団粒化促進のための土壌面対策や、輪作体系の確立が重要であることを明らかにした。