農業土木学会論文集
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粗粒土壌の懸垂水分における間隙水の保水形態と運動についての考察
粟生田 忠雄
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2004 年 2004 巻 229 号 p. 55-61

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抄録

液相の水は間隙中で連続であるかぎり水圧を伝達し, ダルシー則に従つて運動する. 排水がある程度進むと, 液相土壌水は土粒子の接点部に孤立したリング水となって残留する. この水分状態を懸垂水帯といい, 土壌間隙には気相, 液相および半固相の水が共存する. 半固相の水は土士粒子表面に水膜状に吸着されており, 水圧変動では動かない. 一方, 液相リング水の圧力伝達性や運動特性は未整理のまま残されている. それは, 土壌水の運動が相に無関係なエネルギー量で考察されてきたことによる. 本研究では, 粗粒土壌カラムを用い変動水位条件下における液相水の圧力変動を, 実験的かつ理論的に考究した. その結果懸垂水分におけるリング水は,(1) 相互に圧力の連絡を絶ち,(2) 水位変動では動かず,(3) 水蒸気拡散で直径を減少させる,(4) 検査面を代表する圧力を示さず,(5) 相変化を伴って運動する, ことを明らかにした.

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© 社団法人 農業農村工学会
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