栄養学雑誌
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総説
わが国におけるメタボリックシンドロームのエビデンスと診断基準
菅原 歩美曽根 博仁
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2011 年 69 巻 5 号 p. 205-213

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抄録

【目的】わが国では,2005年にメタボリックシンドローム(MetS)の診断基準が発表され,2008年には,その診断基準に基づいた特定健康診査・特定保健指導が開始している。しかし,現在のMetS診断基準は国際的にも統一されておらず,日本の基準は,腹囲,血糖値,血清脂質値で他の診断基準と異なっており,さまざまな大規模臨床研究にて基準値の検証が行われている。日本におけるMetSの有病率は,どの診断基準を採用するかによって異なるが,日本の基準を用いた国民健康・栄養調査では男性27%,女性12%と報告されている。また,MetSにすでに強い心血管疾患発症リスクを有する2型糖尿病患者を含めるかや,腹囲を必須項目にすることによって非肥満者で他のリスクを有する者を見落とすのではないか,などと,MetSの定義そのものに対しても議論の余地は大きい。今後のさらなるエビデンス集積の動向に着目したい。

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© 2011 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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