人工臓器
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透水性の経時劣化機構の検討
竹沢 真吾斎藤 和幸山下 明泰酒井 清孝酒井 糾
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1982 年 11 巻 6 号 p. 1245-1248

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抄録

血液浄化療法の一つである血液濾過は治療中にタンパク質等の生体高分子が膜面に堆積するため濾過流束、溶質透過能が著しく低下する。本研究では濾過流束の経時的な減少を清澄濾過におけるHarman-Bredee-Graceの式を用いて整理しその妥当性を確かめた。その際、4つの濾過式はいずれも高い相関でデータを説明し得た。これは膜面、孔壁における高分子堆積物の抵抗がほぼ等しいために起こるものと考えられる。また濾過抵抗の主因をなす物質を確認するためSC=1の物質(NaCl, イヌリン等)・タンパク質・フィブリノーゲン生食緩衡液・血清・血漿等を濾過し、濾過流束の経時変化を調べた。その結果SC=1の物質・タンパク質・フィブリノーゲン生食緩衡液は経時変化をせず血清・血漿のみが経時劣化を示した。このことから濾過抵抗の経時的増加は、数種類の物質が相互に影響し合って起こるものと考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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