園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
土壌管理・施肥・灌水
みかけの窒素吸収濃度に基づいた給液法がカーネーション‘ノラ’の切り花収量,形質および土壌溶液の硝酸態窒素濃度に及ぼす影響
山中 正仁後藤 丹十郎小河 甲宇田 明宮浦 紀史山口 国夫
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 10 巻 4 号 p. 475-483

詳細
抄録

カーネーションの土耕栽培における灌水同時施肥法の給液管理の簡素化と汎用化を目的に,冬春切り1年作型において,‘ノラ’を用いてみかけの窒素吸収濃度による給液管理法を検討した.総切り花収量は,窒素濃度を季節ごとに4分割した区が最も多く,次いで1か月ごとに12分割した区,一定区の順となり,有意な差が認められた.切り花形質は,定植後33~36週において,一定区の切り花重/切り花長の値が,12分割区より有意に小さかった.土壌溶液のECと硝酸態窒素濃度には,処理による差が認められた.収穫期に相当する定植後20週以降の硝酸態窒素濃度は,一定区では時期による変動が最も大きく8~169 ppm,4分割区では54~103 ppm,12分割区では21~108 ppmとなった.このように,4分割区の濃度変動が最も小さく,栽培期間を通して,土壌溶液の硝酸態窒素濃度をおおむねカーネーションの生育に好適とされるレベルに維持できた.

著者関連情報
© 2011 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top