比較生理生化学
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総説
アメフラシのD型アミノ酸含有神経ペプチド,NdWFamide
森下 文浩古川 康雄松島 治
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2011 年 28 巻 4 号 p. 308-316

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抄録

 動物の恒常性や行動の調節において重要な役割を担う神経ペプチドやペプチドホルモンの中には,特定のアミノ酸残基がD型化しているものがある。これらのペプチドは,元々,全てL型アミノ酸を用いて生合成され,翻訳後修飾の過程でイソメラーゼによりD型化される。われわれは,アメフラシから強力な心拍動増強作用をもつ3残基ペプチド,NdWFamide(NdWFa)を同定した。このペプチドは,その名の通り,Asn-Trp-Phe-NH2という構造をもち,2残基目のTrpがD型化している。このペプチドは,アメフラシ腹部神経節のRUQニューロン群に発現し,心臓・血管系などに局在する。D-Trpは,NdWFaの立体構造の維持に不可欠であり,その特徴的な構造がペプチドの生理活性やペプチダーゼに対する耐性の獲得に重要であることがわかってきた。さらに,最近では数種の腹足類おいてNdWFaおよびその関連ペプチドをコードする前駆体蛋白質の構造も明らかとなった。この総説では,NdWFaに関する知見を中心に,D型アミノ酸含有ペプチドのユニークな特徴について概説する。

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© 2011 日本比較生理生化学会
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