日本顎関節学会雑誌
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顎関節前後方向撮影法による下顎頭輪郭影について
西山 秀昌呉 好宗高橋 章村上 秀明藤下 昌巳渕端 孟
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1993 年 5 巻 1 号 p. 48-61

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抄録

顎関節前後方向撮影法における下顎頭の輪郭影形成に関与する部位を明らかにし, さらに本撮影法によって得られる下顎頭形態とYaleの下顎頭形態との関連性を明らかにすることを目的とした。
検討対象とした撮影法は, Grant-Lanting法, Grant-Lanting変法, Clementschitsch法, 経上顎撮影法, 高久法, Zimmer法である。40mm以上の開口量を有するボランティア20名と35mm以下の開口量を有する顎関節症患者20名の各被験者に対し, 最大開口時の側方頭部エックス線規格撮影を行い, 各群における入射角度の平均値を求め, 各撮影法の下顎頭に対する垂直的なエックス線入射角度とした。
58下顎頭 (29乾燥頭蓋骨) を下顎咬合平面に対して平行に, かつ下顎頭長軸方向から35mmカメラにて写真撮影した。この写真上で, 下顎頭外形に対する各撮影法の中心線の接点を求め, 輪郭影形成部位の代表点として検討した。また, 同下顎頭を下顎枝後面に垂直かつ長軸に対し垂直な方向 (Yaleが観察した方向) から写真撮影した像と, 各撮影法の中心線入射方向から写真撮影した像をYaleに従って形態分類し, 関連性を検討した。
その結果, 顎関節前後方向撮影法の輪郭影形成部位は下顎頭後面部に存在し, 切歯間距離の増大と共に後下方に位置することが示された。また顎関節前後方向撮影法で描出される輪郭影は下顎頭頂部の形態を表さず下顎頭後面部の形態を表すことが示された。

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© 一般社団法人日本顎関節学会
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