2005 年 16 巻 2 号 p. 23-35
我々は, 育児責任を, 家族, 国家, 市場, およびジェンダーの間で, いかに分かち合うべきだろうか。一般に, 少子高齢化社会では, 男性に職業労働を, 女性に無償の家族ケアを, 割り当てるシステムをつくりかえる必要がある。本稿では, 日本, フランス, スウェーデンの三ヵ国を比較しながら, 育児の社会化とジェンダー役割変革の道を探ろう。最初に, こヵ国の家族福祉レジームの特徴を概観する。次に, 三ヵ国でのフィールド・インタビューの結果から, “夫婦で育児”の四類型を示す。さらに, それぞれの家族福祉レジームに基礎づけられたいくつかの典型的な育児戦略を展開していく。そのような分析を通じて, 我々は「個」を尊重する平等主義家族がバランスの良い方法で育児を分かち合うことができるということを見いだすだろう。