2000 年 11 巻 3 号 p. 117-125
製鋼の際に発生する製鋼 (転炉・電気炉) スラグや溶銑予備処理スラグは膨張崩壊性を有し, そのままでは路盤材として利用するには不適当であるため, エージング処理を施して崩壊性を消失させることにより, 路盤材として一部利用されている。しかし, エージング処理により水浸膨張率を1.5%以下にすると水硬性が低下し, HMS (水硬性粒度調整スラグ) としての規格を満たさない場合が多い。
そこで, 本研究では, 製鋼スラグに添加材として流動床燃焼石炭灰を加えることにより, 水硬性を維持しつつ膨張崩壊性を防止することの可能性を, 実験により検討した。
さらに, 土木・建設工事などに伴い発生する建設発生土・建設汚泥に石炭灰を加えて固化し, その固化物をスラグへの添加材として利用することの可能性を同様に実験により検討した。
いずれの場合も, HMSの基準に適合するものが作製できたことから, 処分に非常に困窮しているスラグ, 石炭灰, 建設発生土が同時に有効利用可能な方法として提案するものである。