日本緑化工学会誌
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下刈り後の年数が異なる二次林におけるアズマネザサが優占する下層植生の種多様性
小林 剛斎藤 篤堀 良通
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1998 年 24 巻 3-4 号 p. 201-207

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抄録

茨城県水戸市のコナラ二次林において, 下刈り後の経過年数の異なる3ケ所の下層植生の群落高・種構成・群落内照度を1993年に, および地上部現存量を1994年の夏に調査した。各地点の優占種はいずれもアズマネザサであり, 最後の林床管理はそれぞれ1982年, 1987年そして1993年の初頭であった。管理停止後の経過年数が増すにつれて, 群落高がより高くなる一方で, 群落内照度と構成種数はより低くなった。アズマネザサの優占度は管理停止後の年数と共に増加し, 下刈り後12年を経た群落では, アズマネザサの地上部現存量がその97%を占めた。アズマネザサの優占度と種多様性指数 (H') の間には負の相関が検出された。林床管理の停止にともなうアズマネザサの優占の進行が, 群落の構成種数を減少させ, 群落構造を単純化させることが示された。下刈りはアズマネザサの優占を抑制し, 種の多様性を維持する重要な役割を果たしている。

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