茨城県水戸市のコナラ二次林において, 下刈り後の経過年数の異なる3ケ所の下層植生の群落高・種構成・群落内照度を1993年に, および地上部現存量を1994年の夏に調査した。各地点の優占種はいずれもアズマネザサであり, 最後の林床管理はそれぞれ1982年, 1987年そして1993年の初頭であった。管理停止後の経過年数が増すにつれて, 群落高がより高くなる一方で, 群落内照度と構成種数はより低くなった。アズマネザサの優占度は管理停止後の年数と共に増加し, 下刈り後12年を経た群落では, アズマネザサの地上部現存量がその97%を占めた。アズマネザサの優占度と種多様性指数 (H') の間には負の相関が検出された。林床管理の停止にともなうアズマネザサの優占の進行が, 群落の構成種数を減少させ, 群落構造を単純化させることが示された。下刈りはアズマネザサの優占を抑制し, 種の多様性を維持する重要な役割を果たしている。