パーソナリティ研究
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Grayの行動抑制系と不安・抑うつ
――双生児法による4つの因果モデルの検討
山形 伸二髙橋 雄介木島 伸彦大野 裕安藤 寿康
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2011 年 20 巻 2 号 p. 110-117

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抄録

本研究は,Grayが提案した気質である行動抑制系(BIS)と抑うつ,不安感情の間の因果の方向性について検討した。双生児424組のデータに対し,横断的家族データから変数間の因果関係を推測する方法である「因果の方向性モデル」を適用した。(1)BISが抑うつ,不安に影響を与える,(2)抑うつ,不安がBISに影響を与える,(3)両者が相互に影響を与え合う,(4)両者の相関関係は第三変数による擬似相関である,という4つの可能性を検討したところ,抑うつ,不安いずれについてもBISが影響を与えるとするモデルの当てはまりが最もよかった。次に,抑うつ,不安の間の因果の方向性を検討したところ,抑うつと不安は相互に正の影響を与え合うとするモデルの当てはまりが最もよかった。以上より,BISが様々な精神病理の素因であるとする従来の考え方が支持され,また抑うつ,不安一方への介入が他方の改善にも有用である可能性が示唆された。

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© 2011 日本パーソナリティ心理学会
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