肝臓
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症例報告
肝細胞癌に対するミリプラチン動注療法後に発症した薬剤性肺障害の1例
松浦 知香小林 佐和子大谷 香織吉田 香奈子寺西 優雅遠山 まどか萩原 淳司川村 悦史藤井 英樹岩井 秀司榎本 大田守 昭博中井 俊之鴨井 博平田 一人河田 則文
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2012 年 53 巻 5 号 p. 284-290

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抄録

症例は69歳,男性.C型肝硬変・肝細胞癌(HCC)に対する治療を繰り返していたが,増悪したため,ミリプラチン動注療法目的で入院となった.第0病日,HCCに対してミリプラチン動注療法(計102 mg)を施行した.第8病日頃より,咳嗽・喀痰が出現し,第17病日の胸部CTでは両側肺野のびまん性擦りガラス状陰影を認めた.PaO2 53 Torrと著明な低酸素血症を認め,急性呼吸不全にて人工呼吸器管理とし,ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1 g/日3日間)を開始した.その後徐々に呼吸状態は改善し,第24病日,人工呼吸器より離脱した.第53病日の胸部CTでは肺炎像は著明に改善していた.血液検査・喀痰培養・気管支肺胞洗浄などの結果から感染による肺炎は否定的であり,ミリプラチンによる薬剤性肺障害の可能性が高いと考えられた.

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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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