皮膚の科学
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症例
イマチニブメシル酸塩(グリベック®)によるStevens-Johnson 症候群の1例
則岡 有佳大迫 順子小林 裕美上奥 敏司村上 克彦豊川 貴弘前田 清森川 浩安石井 正光
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2011 年 10 巻 6 号 p. 494-499

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抄録

40歳,男性。直腸の巨大な消化管間質腫瘍 (gastrointestinal stromal tumor: GIST) の治療のためイマチニブメシル酸塩(グリベック®)の内服を開始したところ,15日目より発熱とともに前胸部に紅斑が出現し,拡大したため18日目に当院を受診した。眼球結膜の充血や口唇のびらん,体幹四肢に多発する標的状紅斑がみられ,高度の肝障害を認めた。Stevens-Johnson 症候群と診断し,イマチニブメシル酸塩の投与を中止し,コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム 500mg/日を3日間点滴投与したのちプレドニゾロン 40mg/日の内服治療を開始した。症状の軽快とともにステロイド剤を漸減し,2ヶ月で投与を終了した。イマチニブメシル酸塩の代替治療として,スニチニブリンゴ酸塩(スーテント®)を投与したところ,再度肝機能障害が出現したため中止した。イマチニブメシル酸塩の SJS は稀少例であり,若干の考察を加え報告する。(皮膚の科学,10: 494-499, 2011)

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© 2011 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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