日本生気象学会雑誌
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高位頸髄損傷者の身体状況に及ぼす他動的運動訓練の影響について
―体調管理日誌の記録の分析から―
三上 功生蜂巣 浩生
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2012 年 49 巻 2 号 p. 93-102

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抄録

ほぼ全身の運動機能が麻痺しているある高位頸髄損傷者(男性,60 代,2004 年 1 月受傷,損傷レベル C4,完全麻痺)は,一般的な理学療法と共に「上肢を動かす運動」,「前屈運動」といった他動的運動訓練を長期間にわたり毎日行っている.その他動的運動訓練が高位頸髄損傷者の身体状況に及ぼしている影響を,体調管理日誌の記録内容より分析した.その結果,以下のことを体調管理日誌から読み取ることができた.1)腋窩温のレベルが上昇傾向にあった.2)安静時脈拍数が増加傾向にあった.3)向精神薬の服用日数が一時的に減少した.4)座薬(下剤)を使用せずに,排便を行えるようになった.5)体調が「普通」と感じている日数が増加傾向にあった.一事例であるが,他動的運動訓練が高位頸髄損傷者の身体状況の一部に好影響を及ぼしている可能性が推測された.

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© 2012 日本生気象学会
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