抄録
地域連携クリティカルパスをはじめとする地域医療連携の促進によって,患者は技術の高度化・専門化の恩恵を受けながら効率的かつ安全に医療を受けることが可能になる。一方で,医療連携の促進による患者の移動傾向等のアクセシビリティはほとんど明らかになっていない。
そこで本研究は,地域連携の先進的地域の急性期病院において,(1)患者の来院圏の可視化 (2)回復期病院への転院によるアクセシビリティの変化をGISを用いて明らかにすることを目的とした。
本研究における急性期医療機関の実質的な医療圏は,二次医療圏を超えた広範な地域にわたり,32.5%は二次医療圏外の回復期医療機関に転院していた。医療法で定められる二次医療圏と実質的な診療圏の乖離が地理的に明らかとなった。GISを用いてアクセシビリティを把握することによって,医療の実態を反映した医療資源の整備や,医療計画の立案等に活用可能であることが示唆された。