2012 年 54 巻 9 号 p. 3172-3177
症例は80歳代女性.血便精査で下部消化管内視鏡検査施行したところ,直腸Rbに15mmの褐色調隆起性病変を認めた.NBI観察でpit様構造は消失と整な構造が混在,またCorkscrew様の異常血管を認めた.悪性黒色腫を疑い十分なinformed consent後にEMRを施行し,病理組織学的所見で悪性黒色腫と診断した.9年前に同疾患で経肛門的切除術施行,断端陽性で不完全切除であったが,追加切除されておらず,同部位の局所再発と思われた.悪性黒色腫の予後は極めて悪く,また不完全切除例での長期生存例は稀である.更に,NBI観察しえたことから貴重な症例であると思われた.