環境と安全
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実験室における特殊空調設備の電力使用量低減に向けた取り組み
松井 康人塩田 憲司楠田 育成大岡 忠紀橋本 訓
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2012 年 3 巻 2 号 p. 2_127-2_132

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抄録

   2000年初頭から徐々に工学研究科が吉田キャンパスから桂キャンパスに移転を開始し、同時に空調をはじめとする実験設備の新調も進められた。室内温度または温湿度を一定に保つための特殊空調設備は、桂キャンパスCクラスターで13機が稼働している。地下1階のX線分析室を調査対象室(容積117.1 m3、排気風量300 m3/hr、温度20±2 °C、湿度60 %)とし、計測器を用いて1分間ごとの電力使用量を計測した。インバータ制御導入の設備改造を施した後、1日ごとの電力使用量の減少効果を計測した。改造前の空調は、通常モード(Normal operation mode、温度20±2 °C、湿度60%、24時間連続運転)と、温度精度幅がやや大きく設定される省エネモード(Saving operation mode、温度17.20 °C、湿度60%、24時間連続運転)が標準装備されており、この2種の運転モードに対して、湿度制御をOFFとした場合と、24時間連続運転を、12、18時間に短縮した場合とで計測を実施し、インバータ導入前後で電力使用量を比較、検討した。その結果、特殊空調設備における電力使用量低減の為には、インバータ制御導入、加湿器のOFF、制御温度幅の拡大、1日あたりの連続運転時間の短縮、の順で削減効果が高いことが認められた。特にインバータ制御導入後では、電力使用量が通常の運転モードと比較すると25分の1となり、温湿度も良好に制御されていた。大学の実験室で特殊空調設備を新設される際には、維持費としての電力使用量を考慮する必要がある。

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© 2012 大学等環境安全協議会
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