2012 年 44 巻 10 号 p. 1258-1264
2年間在宅治療を継続した慢性心不全患者(n=84)の退院時と退院後1年時と2年時のquality of life(QOL)および退院時と退院後2年時のセルフケアを調査することを目的とした.対象患者群の多くは,男性高齢者で虚血性心疾患を基礎心疾患とし,一般病棟退院時にはNew York Heart Association(NYHA)Ⅰの軽度な症状となっていた.QOLは,退院時に比べ退院後1年時と2年時ともに身体的および精神的なQOLがともに悪化していた.セルフケアでは退院時に比べ退院後2年時に定期的な血圧・体重測定,運動,禁煙や塩分制限を生活習慣として実施している患者が増えたと考えられた.これらのセルフケアは,在宅治療の継続に極めて重要であることが示唆された.セルフケアを生活習慣化して在宅治療を継続するが,慢性心不全患者のQOLは徐々に悪化することが認められた.