心臓
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症例
心室細動を契機に発見された心尖部瘤を伴う心室中部閉塞性肥大型心筋症の1例
古賀 俊輔長谷川 洋康田 典鷹李 光浩上田 希彦船橋 伸禎有村 卓木村 彰方永井 敏雄小林 欣夫
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2012 年 44 巻 11 号 p. 1399-1404

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抄録

症例は43歳,男性.幼少時より心電図異常を指摘されていた.某年6月某日,自宅安静時に突然意識を消失し,家族により心肺蘇生が施行され,救急隊により自動体外式除細動器(automated external defibrillator;AED)で除細動され洞調律に復帰し,前医へ搬送された.第9病日に心室細動(ventricular fibrillation;VF)に対する植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator;ICD)植え込み目的で当院転院となり,心エコー,心臓CTにて,瘤内血栓を伴う左室心尖部瘤と心室中部閉塞性肥大型心筋症を認め,第12病日にICD植え込み術を施行した.心室内血栓はヘパリンとワルファリンにて消失し,経過良好にて退院となった.心尖部瘤を合併した肥大型心筋症では,文献的にも心室頻拍やVFといった致死的不整脈の出現する危険性が高く,心室中部閉塞性肥大型心筋症に心尖部瘤を伴う症例では突然死や致死性不整脈のリスクが有意に上昇することが知られている.したがって,本症例においてもハイリスクとして管理する必要があり,心尖部瘤を合併した心室中部閉塞性肥大型心筋症では突然死の予防としてICDを積極的に考慮する必要があると考えられた.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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