心臓
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第23回 心臓性急死研究会
II度以上の房室ブロックを伴う筋緊張性ジストロフィに対する予防的植込み型除細動器(ICD)植え込みの必要性
武 寛森田 宏西井 伸洋永瀬 聡中村 一文河野 晋久草野 研吾浩 伊藤
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2011 年 43 巻 SUPPL.2 号 p. S2_39-S2_45

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抄録

筋緊張性ジストロフィの死因は, 呼吸筋低下による死亡が最も多いが, 心室細動や心室頻拍, 原因不明の突然死も約1/3ある. 今回, 筋緊張性ジストロフィの不整脈基質について検討を行った.
症例1: 45歳, 男性. Mobitz II型房室ブロックにて入院. 心電図はI度房室ブロックを示し, 加算平均心電図では遅延電位陽性であった. 電気生理学的検査(EPS)では右室心尖部からの単回期外刺激で心室細動(VF)が誘発された.
症例2: 49歳, 男性. 3年前に心房頻拍に対して心筋焼灼術施行した既往があった. I度およびMobitz II型房室ブロック精査のため入院した. 加算平均心電図では遅延電位陽性. EPSでは右室心尖部からの3連期外刺激でVFが誘発された.
症例3: 49歳, 女性. 呼吸筋低下による人工呼吸管理中, 発作性2: 1房室ブロックを認め紹介となった. 心電図はI度房室ブロック, 完全右脚ブロックを示していた. Holter心電図では多形性の非持続性心室頻拍8連発を認めた.
今回, 検討した3例はいずれも正常心機能で失神の既往歴はなかったが, II度以上の房室ブロックがあり, 1例では右脚ブロックも認めた. 遅延電位陽性でEPSを行った2例ではVFが誘発された. 筋緊張性ジストロフィでは房室ブロックの進行以外に心室性不整脈による突然死の可能性が報告されており, 1次予防として植込み型除細動器(ICD)植え込みを行った.

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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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