抄録
症例は79歳, 男性. 2005年, 近医で心室性期外収縮を指摘され, ジソピラミドの内服を開始された. 前立腺癌の化学療法施行目的で入院中, 夕食後の歩行時に立ちくらみを自覚し, 非持続性心室頻拍(脈拍110/分, 20連発)を認めた. メキシレチン, ピルジカイニドを内服するも, 右脚ブロック型下方軸の心室性期外収縮および同形の非持続性心室頻拍が頻発し, カテーテルアブレーションを施行した. 同時に施行した冠動脈造影, 左室造影は正常であった. CARTOシステムのPaSoを用いて, 逆行性アプローチで大動脈弁下部, 左冠尖, 大心臓静脈からペースマップを行った. 大心臓静脈から前室間静脈近位部で良好なペースマップを得たため, 左冠動脈を造影しながら静脈内から最大出力25Wで通電した. 通電による心室性期外収縮の消失と, 通電終了後の再発を繰り返した. そのため, 再度左冠尖からペースマップをしたところ, 時折perfect matchを認め, また, 心室性期外収縮の直前にprepotentialを認めたことから, 同部位で通電した. 通電により心室性期外収縮は消失し, また, prepotential後の心室性期外収縮も消失したためexit blockが完成したと判断した. その後も再発を認めなかった. 前室間静脈近位部と左冠尖からの通電により心室頻拍, 心室性期外収縮を根治し得た症例を経験した.